あたしとあなたは金を払いそこを出る
墓地の前を通る時にだけあたし達はふたりになる
ひとりひとりではなくあたしとあなたでもなくふたりになる
あたし達ふたりは途端に翼を失う
もうひとりじゃないので
ひとりという名の鳥
ねえ、あの詩は真実でしょう?
その場所で
いつまでも消えぬ飛行機雲を
ふたりは見ることになる
墓場の遠い空に
短い永遠の現象として
その瞬間が過ぎるとあたし達はまたそれぞれに
翼を手に入れる
ひとりの鳥として
そうしてこの真空の闇を飛んで行く
決して出会うこともなく
しかし出会うために